Tuesday, February 9, 2010

A.I.ならずI.A.を選べば「技術特異点」が起こらないはずです。


E-mailでのやりとりの中でMichael Anissimov氏に勧められ、「技術特異点」理論の起点となった論文「 The Coming Technological Singularity: How to Survive in the Post-Human Era (Vernor Vinge 1993)」を初めて読みました。
みなさんも読んで下さい。シンプルできっと納得いくと思う。
面白いのは、超人知能を果たすには、2つの方法があると述べている。
1) Artificial Intelligence (A.I.)
人間の脳と完全に独立する、人間のような知能をもったマシーンをつくること。
2) Intelligence Amplified (I.A.)
脳とつなぐデバイスにより、知能を拡張する技術。

論文の中で、気に入ったクオートを引用しました。
- 技術による進化が自然による進化より早い理由について
"人間の脳は内部的に世界全体を再現できる能力をもっている。「こうすれば、こうなる。」といくらでも思考できる。よって、自然淘汰よりも何千倍速く問題解決できちゃう。"
- 人工知能について
"自意識をもった機械を作れるまでは、多分、ハードウェア的に人間の脳をはっきり上回る電子ハードウェアをまず作る必要があるでしょう。"
- 拡張知能について
"コンピューターネットワークや、ヒューマン・マシーンイターフェースなどは普通に日常生活に現れる技術なのに、もしかしたら技術特異点に導ける。より効率的に情報にアクセスしたとき、よりスムーズに他人と通信したとき、そういったときって、自分の知能を拡張したと同然なのではないでしょうか。"
"全く人工的に、コンピューターの中に知能を一生懸命に実装しようとするよりも、生物学的知能に より一層任せて 複合体を作ればいいのでは。"

Vernor Vinge氏が問いかけているように、どっちの方がよいですかね。
個人的に、IAの方が起こり得ると思う。なぜなら、もう既に起こってるからです。

ノートパソコンにキーボードを打ってるときはパソコンとあなたがコラボしている。
iPhoneなどで、GPS位置を検索しているときはiPhoneとあなたがコラボしている。
Twitterでフォロワーに質問を投げ掛けるときもTwitterエンジンとあなたがコラボしている。
なので、現代人の知能は既に複合体で生物学的と非生物学的部分で成り立っている。
機械との融合は既に進行中。

従って、Vernor Vinge氏の論文が定義する技術特異点は起こらないと言えるわけです。
定義
"技術特異点とは現在使用・開発しているモデルが無効になる点です。"
要するに、例えば2028年における一般の人間がもつ知能や世界がもつ情勢が現代人にとって理解不能ということです。

言い換えると、「技術特異点」という概念は現代人にとってのみ意味をする。2028年の人間にとってはその概念は存在しないはずです。

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